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事の起こりは六日前。
しばらく外出していた(らしい)我が家の猫「ちび」御歳満8歳が帰宅した所で始まる。
なんだか元気の無い猫に不審を抱いていたのだが、母がお尻を触ったら「ギャア!」とものすごい勢いで痛がったという。
「怪我か?」と尻を覗き込んでみたところ、なんと、真っ赤な内臓的な何かが血と体液をにじませぶら下がっているではないか。
これは、痛い。
あまりのグロテスクさに、一旦目を背けるも放っておくわけにはいかない。
明らかにちびは調子が悪そうであり、普段甘ったれてニャアニャアと五月蝿いのが殆ど沈黙して蹲っている。そして何よりその下肢は体液で濡れそぼり、酷い悪臭を放っているのだ。
後に病院で脱腸と判明するのだが、普段陰嚢がある場所に赤い内臓がぶら下がっていた為、その時は陰嚢が裂けたのかと思った。
すわ一大事、と頭を抱えるも、時刻は既に夜の九時を回っている。人間の急患じゃあるまいに、こんな片田舎で動物用の救急病院があるとも思えない。今まで外飼いの半野良猫以外飼った事のない私たちは、そもそも動物病院そのものが縁遠かったのだ。例え夜間受け入れをする病院があっても知らないし、この事態の深刻度合いがどの程度かも皆目検討がつかなかった。
なんと言っても、八歳などという(野良としては)高齢になるまでうちに居た猫はこのちびが初めてなのだ。いままでの猫は長くて3年、いつもオスばかり飼っていた為高歩きしたままどこかに消えてしまっていた。唯一避妊手術までして飼おうとしたメス猫「トラ」は、避妊手術の抜糸からいくらも経たない間に家出してしまった。
そんなこれまでの猫に比べて段違いに長く、段違いに人懐こく我が家に居付いていたちびに対する一家の思い入れもまた、これまでの猫に比べて段違いのものである。
医療保険の準備などあろう筈も無い為出費は覚悟しなければならないが、放っておく事など出来ない。結局一晩は少しでも清潔に、暖かくなるよう環境を整えた納屋(普段から猫は納屋に寝泊りさせている)にちびを寝かせ、翌朝開院を待って病院へ駆け込む事にした。
その翌朝もまた一騒動あったのだが(納屋からちびが消えていた!)、何とか病院へ連れて行き、脱腸と診断されて入院とあいなった。
普段からしょっちゅう土を掘ってトイレをし、しかも、どうにも何も出ていない様子が気になっていたのだが、どうやらそれが尿結石による尿詰まりだったらしい。(てっきり便秘をしていて、それが原因と思ったのだが、脱腸の原因になるのは便秘よりも下痢だそうだ)
幸いにして詰まっていた結石は脱腸するほど踏ん張った時に流れて出たらしいが、それでなくば死んでいただろう、と言われてぞっとした。
結局、腸を収めて肛門を絞り、食事制限と投薬で三日ほど入院して、一昨日の夜退院してきたのだ。
ただ、腸を切ったわけでも腹腔内に固定したわけでもないので再発の危険はある、と言われていた。願わくばそのまま回復して欲しかったのだが懸念どおりになったわけである。
今回はまだ発症してすぐだったからか(おそらく初回の発見は発症して一日か二日経ってからだったのだろう)、やたらと本人は元気そうで、元気そうなのはありがたいが食欲はあるし(腸がはみだした状態で普通どおり食べさせるわけにも行かない)、ニャアニャアと賑やかだし、外には出たがるしで心配も多かった。
前回(土曜日)は母が運転、私が猫の付き添いで行った病院も今回平日で母は忙しいので私だけである。のろのろ運転30分の道のりを猫を宥めすかしながら行くのは中々骨が折れたが、とりあえず病院に預けられて一息ついたところだ。
と、まあ小説風に経緯を語ってみたわけですが。
そんなわけで猫は一日で病院リターンでしたとさ☆
哀しいかな金銭的な心配もしないといけないわけで、出費の面でも頭の痛い話ですが、今更見捨てることは出来ないので払います。ボーナスがw
しかし普段何処に出歩いてるのか二日三日居ないのは珍しくないはずなのですが、「絶対に居ないと分かっている」というのも寂しいものです。
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