Twitter300字ss参加作。オリジナル。お題は『匂い』
-------------------------
『恋薫る』
すれ違いざま、ふわりとそよいだ風が薫香を含む。
思わず振り返った先に、優雅に紬の袖が揺れた。
沈香、白檀、はたまた伽羅。仄かに薫るは、着物に焚き染めた香か。
実家では抹香臭いとしか思わぬその香の艶めかしさに、ああ、「色香」と言うはこの事かと感動する。
場所は常の通勤路。休日、偶然すれ違っただけの佳人が忘れ難く、翌日思わず其処で足を止める。
それを追い越した後輩が、振り返って声をかけた。
「先輩? どうしたんですか?」
先日告白されて断った相手だ。気まずいながらも佳人を見たと話せば、何とも微妙な顔をされる。
「……多分、それ自分デス」
同時に扇子をひらりと振られ、彼の香が薫る。
瞬間、相手が世の誰よりも美しく映った。
---------------------
……匂いって、一番本能に近い感覚刺激ですよね、特に哺乳動物にとっては。
てわけで自分の中では随分珍しいジャンルに手を出してみました。
この匂い刺激の無意識に及ぼす作用について私が語り始めると論文サイズになるので自粛します。元専門分野ェ…。
そしてワンライは参加出来ませんでしたあああぁぁぁぁ!!! 代わりに今の市役所で一番やばそうな場所の話を聞いてきた。ブラックホールだった。BL漫画山ほど借りた! 地元民の子なので、地元あるあるとして巴市読んで貰いました。文章は読みやすい頂きました。……コバルト選評は一体何だったのか……。
薫香翻す青年(美郷)のイメージがあって(多分三十路前まで育った頃の話)、300でみっちゃん出しようがなかったのでこんな感じに。序盤のアレが書きたかったのです。
くそう! 来週はワンライ!!
PR